分譲マンション関係

管理関係

Q1

管理組合の役員をしているが、ほとんどの居住者はマンションの管理に関心がなく、管理組合の運営が疎かになっている。居住者の関心を高めるにはどうすればよいか。

A1

同様の課題を抱えているマンションも多いと思われます。また、築後年数が経過したマンションでは高齢者の率も高く、管理組合の運営自体に支障をきたしている事例も多く見受けられます。

しかし、マンションの適正な管理は管理組合やその構成員である区分所有者の義務であり、管理が疎かになった結果生じるマンション内のトラブルや建物劣化による被害などは、すべて区分所有者にはね返ってくる問題です。管理が適切に行われていないマンションは財産価値も低下し、周辺地域の環境悪化にもつながりかねません。

マンションを適切に管理するためには、日頃から集会や各種イベント等を通じて区分所有者間、居住者間のコミュニケーションを活性化し、共同意識を醸成するとともに、自分たちのマンションが抱える問題を全員が認識しておく必要があります。

ひょうご住まいサポートセンターでは、管理規約の見直しや大規模修繕など管理組合にとって重要な課題に関する勉強会等にマンションアドバイザーの派遣(無料)を行っています。ぜひこのような制度を活用し、居住者の問題意識の喚起に役立ててください。

Q2

当マンションでは、管理規約は一応あるが古いもので、長い間改正されていない。このまま放置しておいても支障ないものだろうか。

A2

マンションは、築後年数が経過するにしたがって使用方法が変わったり、当初想定していなかった問題が生じたりするものです。また、関係する法律等が改正され、知らぬ間に管理規約が法律と整合しなくなっている可能性もあります。したがって、管理規約は築後年数の経過とともに随時見直す必要があります。

国では、管理規約のモデルとしてマンション標準管理規約を作成し、必要に応じ改定を行っています。

各マンションの管理規約を改正する際は、基本的にはこの標準管理規約を見本として、当該マンションの実態に即したアレンジを検討すべきでしょう。

なお、管理組合が行う管理規約改正に向けた勉強会等については、ひょうご住まいサポートセンターのマンションアドバイザー派遣制度(無料)が利用できます。

Q3

分譲マンションだが賃貸されている住戸が多いため、管理組合役員が確保しにくく、組合の運営が難しくなっている。

A3

最近、賃貸しによるオーナー不在の住戸が増えているマンションが見受けられます。

基本的には、管理組合の運営は直接的な権利を持つ区分所有者が行うべきものですが、マンションの実態を踏まえた柔軟な対応が望ましい場合もあります。

このような情勢を受けて、国が示すマンション標準管理規約では、マンションに不在の区分所有者でも管理組合の理事、監事に選任できるようになりました。

当然、個々のマンションで対応は異なるでしょうが、管理組合役員に不在区分所有者や賃借人を加える場合は、管理規約の改正等が必要となります。ただし、管理組合理事長は一般的に区分所有法の管理者としての法的権限を有する立場であるため、当該マンションに居住する区分所有者とすべきでしょう。

Q4

当マンションでは管理組合の役員は1年毎の持ち回りになっているが、高齢の居住者が多いため、役員のなり手がおらず困っている。

A4

高齢者向け分譲マンションはもとより、築後年数が経過したマンションでは居住者も高齢化している場合が多く、管理組合の運営にも支障が生じる場合が多いと考えられます。

このようなマンションでは、管理会社に管理を委託しているケースがほとんどでしょうが、管理会社に任せっきりで管理組合は名目だけのものとなりがちです。管理組合の運営が疎かになると、マンション内の様々なトラブルや課題に対応できなくなります。

管理組合役員体制の改善策としては、以下のようなことが考えられます。

  • 管理会社のサポート業務を拡充する。(委託業務内容の見直し)
  • 役員選出を輪番制でなく、意欲のある組合員に委ねる。(役員報酬等の検討も必要)
  • 役員資格者の対象をマンションに居住しない組合員、組合員の配偶者・一定の親族等に拡大する。(ただし、マンションの管理者である理事長は区分所有者であるべき。また、資格者を拡充する場合は管理規約等で明確に定めておく必要あり)
  • マンション管理士等の専門家に役員を委託する。(ただし、理事長は区分所有者)
  • 自治会業務との役割分担、連携等

なお、区分所有者以外の第三者に組合運営を全面的に任せる第三者管理方式について、現在(H25年度時点)、国において制度の検討が行われています。

Q5

当マンションの管理費や修繕積立金は、他の同じようなマンションと比べて高いと思われる。見直ししたいが、管理会社が非協力的で困っている。

A5

管理費の額に関しては、管理会社への委託内容によっても当然異なるため、一概に他のマンションとの比較はできません。

また、管理費は管理会社にとっての収入であるため、値下げに関しては、管理会社として二の足を踏むことも十分考えられます。

まず、現在の委託業務が契約どおり適切に行われているかの確認が必要です。そして、同じ業務内容について他の管理会社から見積もりを取るなどして、場合によっては管理会社の変更を管理組合として検討する必要もあるでしょう。また、管理会社に委託せず管理組合員が自ら行える業務がないか検討することも必要でしょう。

一方、修繕積立金は今後の共用部分の大規模修繕工事に備えて計画的に積み立てるものです。長期修繕計画を定期的に見直し、現在の修繕積立金で将来に備えた工事費の確保が可能であるかを確認しておく必要があります。

一般的には、建物の経年劣化に伴い予定以上の工事費が必要となりがちです。万が一、修繕積立金が不足する場合、各区分所有者からの臨時徴収や工事の先送りが考えられますが、どちらも好ましいものではありません。

Q6

当マンションの管理会社は新築当初から管理を行っているが、管理組合を半ば無視した勝手な運営が多く、居住者は皆不満を持っている。別の会社に替えるべきか。

A6

特に、長年管理に携わっている管理会社、管理人の中には、管理組合の意向を十分汲まずに独断で(場合によっては受託者の権限を越えて)管理業務を行っているケースもあるようです。管理会社に任せっきりで、関心を示さない管理組合の側にも責任の一端があるかもしれません。

このような場合、まず、現在の委託契約に基づく業務を管理会社が適正に行っているか確認しておく必要があるでしょう。また、委託業務内容をきめ細かく契約上で規定しておく(管理会社に勝手な運営はさせない)ことも必要です。

管理会社が横暴で、業務上の違法性が懸念されるような場合は、マンション管理業者の登録を行っている国に相談する方法もあります。

管理組合でよく話し合って、管理会社の変更を検討する必要もあるでしょう。その場合は、実績のある他の管理会社数社から見積を取ってヒアリング等を行い、総合的に判断すべきでしょう。

Q7

マンション管理組合の役員をしている。当マンションは戸数も多く、管理組合が自治会も兼ねており、自治会費は毎月徴収している管理費に含まれている。最近、自治会を脱退したいという居住者がおり、管理費の徴収などで困っている。

A7

マンション管理組合は当該マンションの適正な維持管理を目的に全ての区分所有者によって構成されるものです。したがって、地域に居住する住民の親睦や生活の利便性向上 を目的とする自治会(町内会)とは基本的に性格が異なるものです。

また、区分所有者は法的に自ずと管理組合の構成員となる一方、賃借人も含むマンション居住者は自治会への加入、退会は自由です。

したがって、管理組合の会計に任意団体である自治会の会費を含むことは当然出来ません。管理費と自治会費は支出目的も当然異なります。便宜上、管理費と自治会費を同時に徴収するとしても、会計区分は明確に分けておく必要があります。

しかし、自治会活動によってマンション居住者のコミュニケーションが向上することは、管理組合の円滑な運営にも不可欠なものです。また、マンションの防災対策などでは管理組合と自治会両者に役割が生じます。

二つの団体を全く別のものとして扱うより、相互に補完しあうものとして考えるべきでしょう。このような観点から、管理組合としても居住者に自治会活動への積極的な参加を呼びかけた方が望ましいと考えられます。

修繕関係

Q1

当マンションでは、修繕積立金が高すぎるという不満の声が多い。積立金を安くする方法はないか。

A1

修繕積立金は、基本的にマンションの長期修繕計画に基づいて算出されるべきものです。

さらに、長期修繕計画は建物や設備の劣化状況等を踏まえて一定期間ごとに見直す必要があります。

現時点の長期修繕計画がそのような実態を踏まえて作成されており、かつ、将来的な修繕資金も十分確保される見通しであれば別ですが、一般的には、将来の修繕資金が不足するケースも多いため、積立金の減額は慎重に行う必要があります。

特に、区分所有者の高齢化が進行するマンションでは、将来を見据えたより計画的な修繕資金の確保が重要となるでしょう。

Q2

当マンションでは長期修繕計画はあるが、新築当初に作成されたもので、長い間、見直しされていない。大規模修繕工事は必要に応じ行っているが、修繕計画を見直す必要はないか。

A2

長期修繕計画には、建物や設備の定期的な検査、調査によって共用部分の劣化状況等を踏まえた上で、修繕予定時期や想定工事費等が反映されています。したがって、一定期間(概ね5年程度)ごとに計画を見直す必要があります。また、長期修繕計画を見直すことによって、現行の修繕積立金が妥当かどうかの判断も出来ます。

大規模修繕工事は、このような長期修繕計画や実際の修繕積立金の状況に応じて計画的に行われるべきです。

なお、長期修繕計画の見直しに関しては、管理組合員の理解を深めることも重要です。 事前の勉強会などについては、ひょうご住まいサポートセンターのマンションアドバイザー派遣制度(無料)が利用できます。

Q3

数年後に大規模修繕工事を予定している。①具体的にどのような手順で進めればよいか。②コンサルタントや工事業者はどうやって選べばよいか。

A3

①について

工事の企画から完了までの期間は複数年に及ぶ場合が多いため、まず、管理組合内に 理事会とは別に修繕委員会を設置するのが望ましいでしょう。また、管理組合員には専門知識を持った人がいるケースは少ないでしょうから、初期の企画・検討段階から専門家(建築士、マンション管理士等)の支援を受ける方法もあります。

工事の計画を進める前に、まず、建物の現状調査・診断を行い、劣化している箇所を把握します。それを踏まえて修繕計画、修繕設計を作成し、概算工事費を事前に把握した上で修繕積立金等、資金的な検討を行います。

工事の設計・施工を委託する方法はその種別・規模等によっても異なりますが、一般的には「設計監理方式」又は「責任施工方式」が考えられます。

  • 「設計監理方式」は、設計及び工事監理をコンサルタント(設計事務所等)に委託し、工事は工事業者に発注します。コンサルタントによって工事のチェックが徹底されるなど、管理組合にとって安心して進められる方式です。
    この場合、まず、管理組合に代わって工事の企画から完成までの技術的な業務を行ってくれるコンサルタントの選定が必要になります。
  • 「責任施工方式」は、設計と工事を一括して同じ工事業者に任せる方法で、管理組合の手間は省けますが、工事のチェックが安易になる可能性もあります。
    この方式では、直接、工事業者の選定を行うことになります。

②について

コンサルタントは、同種の工事について設計監理の実績がある設計事務所等を選定するのがよいでしょう。業界団体や業界紙の情報などから選んだ3、4社のコンサルタントに提案を募って選定する方法もあります。

工事業者についても数社選定の上、統一した設計書・仕様書等を提示し、工事見積書や工事内容に関する提案を依頼します。過去の工事実績以外にも会社の資力や経営状況等も参考にすべきでしょう。業界紙等で公募する方法もあります。

提出された見積書等をもとに各社からヒアリング等を行い、工事費、提案内容、工事体制、工事後の補修対応等を総合的に判断し、最も適切な業者を選定します。なお、コンサルタントに委託している場合(設計監理方式)は、これらの実務はコンサルタントが主導して行うことになります。

Q4

当マンションは築後10年近くになるが、建物の劣化点検や修繕は必要ないか。

A4

一般的には、築後10年程度で塗装部分や防水部分の劣化が進行している可能性があるため、一定の調査・点検が必要でしょう。また、その結果に応じて長期修繕計画を見直す必要もあります。

なお、新築で引渡されたマンションでは住宅品質確保法や住宅瑕疵担保履行法により、マンション販売業者に築後10年間の瑕疵保証責任(構造耐力上主要な部分又は雨水の侵入を防止する部分に限る)があります。このため、通常、販売業者が10年目に点検を行います。  建物の劣化調査に際しては、設計・工事上の瑕疵であるか通常の劣化であるかの判断も必要となるでしょう。

Q5

古いマンションで居住者も高齢化してきたので、建物の共用部分(玄関、廊下)に手摺やスロープを付けたいが補助等はないか。

A5

建物も居住者も老朽化、高齢化しているマンションが増えています。快適な生活を確保するため、大規模修繕の一環としてバリアフリー化も当然、検討すべきでしょう。

一般的なバリアフリー化としてはスロープや手摺の設置などが考えられます。

このような工事に関して、県や市町が管理組合へ工事費の補助を行う「人生いきいき住宅助成事業」があります。補助を行っていない市町もありますので、まず、地元市町にお問い合わせください。

また、バリアフリー化工事を検討するに際して、管理組合で事前に技術的なアドバイス等を希望される場合は、ひょうご住まいサポートセンターの安全・安心リフォームアドバイザー派遣制度(無料)が利用できます。

Q6

現在住んでいるマンションは古く、地震時に不安がある。管理組合で耐震補強の検討もしているが、なかなか進まない。耐震診断を行うこと自体に反対する区分所有者も多い。どうしたらよいか。

A6

昭和56年以前に建築されたマンションは古い耐震基準で設計されている可能性が高く、今後発生する可能性が高いとされる南海トラフ地震等に備えて、これらのマンションの耐震改修は大きな課題となっています。

耐震診断を行って結果が思わしくない場合、建物の財産価値が下がるのではという区分所有者の危惧や多額の改修費用を要することなどが、耐震改修が進まない主な原因と思われます。

しかし、「建築物の耐震改修の促進に関する法律」等では、マンション等について耐震診断等の努力義務(指定された避難路沿道のマンションでは義務化)が課されるとともに、一定の認定を受けたマンションでは耐震改修工事の総会決議要件の緩和などが行われました。また、中古マンションの売買に際しても耐震診断の有無等について重要事項説明が必要とされています。したがって今後は、耐震診断や耐震改修を行っていない古いマンションは市場価値が低下する可能性もあります。

このような動きに連動して、耐震診断や耐震改修工事に対する公的な補助制度も手厚くなっています。

区分所有者の理解や合意形成を高めるため、まず、耐震改修に関する勉強会や改修工事事例の見学会実施などの取り組みが必要でしょう。また、マンションの老朽度合いによっては建替えという選択肢も視野に入れる必要があります。

なお、耐震改修や建替えの勉強会等については、ひょうご住まいサポートセンターの安全・安心リフォームアドバイザー派遣制度又はマンションアドバイザー派遣制度(無料)が利用できます。

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