不動産取引関係

Q1

「フリープラン」や「自由設計」という住宅の広告に魅かれて建築条件付宅地の売買契約を締結した。営業マンから住宅のモデルプランを提示され、「とりあえずはこれで建築工事請負契約を締結してほしい、後で変更もできる」と言われているが、このまま進めてよいものだろうか。

A1

設問のように、最近、これらのキャッチフレーズに魅かれて宅地の売買契約をした方々からの相談が増えています。宅地と住宅がセットで売買される新築の建売住宅と、宅地は売買契約で住宅は建築工事請負契約という2つの契約を結ぶこととなる建築条件付宅地分譲とは、本来大きな違いがあるにもかかわらず、一般の消費者には十分認識されていません。このため、契約内容をしっかり確認しないまま契約を締結してしまい、後になってトラブルになるケースがあります。

建築条件付宅地分譲の場合、一定期限内に分譲業者が指定する工事業者と建築工事請負契約の締結に至らない場合は、違約金を伴わず無条件で宅地売買契約を解除できる特約が設けられています。

宅地売買契約と建築工事請負契約を同時に締結してしまうと、建築条件付宅地分譲という契約形態のメリットが消失し、設計や予算の問題で建築工事請負契約を解除しようとしても違約金を要求されかねません。設計や見積金額を十分検討してから建築工事請負契約を締結しましょう。

Q2

最近、中古戸建て住宅を購入したが、雨漏りがする。仲介の不動産業者を通じて売主と交渉しても応じてくれない。

A2

雨漏りは購入物件の「瑕疵」といえます。「瑕疵」とは「売買の目的物に通常の取引上の注意では発見できないような隠れた物質的欠陥があること」をいい、買主が売主にその責任を追及するためには、善意であること(その瑕疵の存在を知らないこと)が必要です。つまり、外部から見ただけでは発見できないような欠陥が物件の引渡し後に発見された場合は、この瑕疵担保責任を追及することができます。

買主が瑕疵を発見した場合、民法では「瑕疵を知ったときから1年以内」に損害賠償請求、もしくは、契約の目的を達せられない場合に、契約解除を請求できることとなっています。しかし、民法は強行法規ではないので、個人間の売買では「売主は瑕疵担保責任を負わない」とすることも、権利行使の年数を定めることも可能です。特に古い中古物件の個人間の売買では、「現状有姿」とか「瑕疵担保責任を負わない」とすることがあります。

一方、売主が宅地建物取引業者の場合は、中古物件であっても最低2年間は瑕疵担保責任を負わなければなりません。「瑕疵担保責任を負わない」とする特約や2年未満の特約は無効とされ、民法の原則が適用されることになります。

また、売主が知っていたにもかかわらず隠していたような瑕疵については、いかなる特約を設定しても、売主はその責任を逃れることができません。
 重要事項説明書や売買契約書の記載内容を改めてよく確認してください。

Q3

中古住宅を購入する契約をしたが、改めて現地を見て検討した結果、購入を取り止めることにした。しかし、仲介業者を通じ、売主から違約金を要求され困っている。

A3

契約解除には、手付け解除、契約違反(債務不履行)による解除、住宅ローン利用特約による解除、危険負担による解除があります。何らかの理由により売買契約後に契約を解除する場合の取り決めは、重要事項説明書や売買契約書に記載されていますのでよく確認しましょう。一般的には、売主・買主のそれぞれが契約の履行に着手するまでの間は、売主は受領した手付金を返却した上、更に同額を買主に支払うことで、また、買主は手付金を放棄した上で契約を解除することが可能です。

設問の場合、売主が契約の履行に着手していなければ、買主は違約金を支払うことなく契約解除することが可能となりますので、売主が契約の履行に着手しているかどうかを確認してみてください。

Q4

宅地を購入後、敷地内の地中に元の建物の基礎が残っており宅地の使用が制限されることが分かった。補償してもらえるか。

A4

買主は、自己の使用目的等から、当該目的物が一定の性質を有するものとしてその対価の決定をして契約を成立させるわけですから、通常又は特に予定されていた品質・性能を欠く場合には瑕疵があるということになります。建物の敷地としての利用が大きく妨げられる場合は、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求等が認められる可能性があるといえるでしょう。

売買契約書の瑕疵担保責任や契約解除に関する条項を改めてよく確認してください。

Q5

元の所有者(売主)がリフォームした中古住宅を購入したが、リフォーム工事の不具合がある。補修してもらえるか。

A5

一般的に、リフォーム済み中古住宅の場合の売主は不動産会社であることが多いと思われますが、瑕疵担保責任期間は、個人間の取引では引渡し日から3ヶ月以下という例が多いのに比し、不動産会社が売主の場合は引渡し日から2年以上と長いのが、買主にとって大きなメリットといえるでしょう。また、売主が知っていたにもかかわらず隠していたような瑕疵については、いかなる特約を設定しようとも、売主はその責任を逃れることができません。契約書の瑕疵担保責任や解除条項を改めて確認してみてください。特に、中古物件を購入される場合は、見た目の綺麗さだけで判断しないよう、建物に不具合がないかどうかをしっかりとチェックすることが重要です。

Q6

新築マンションを購入予定で、近々内覧会があるがどのような点をチェックすればよいか。

A6

分譲マンションの内覧会は、物件の引渡し前に買主が行う完成検査といえます。入居後に思わぬ不具合などで買主が費用面や精神面で負担を強いられることのないように、内覧会では必要箇所をしっかりとチェックすることが大事です。

また、本格的なチェックには専門知識やノウハウが不可欠です。住宅インスペクション(※)を行ってくれる専門家(建築士)に依頼し、素人が見落としがちな箇所の点検や補修要求が可能か否かについての判断を任せることも選択肢の一つです。

一般的に、内覧会は住宅内部のキズや汚れをチェックするものと思われがちです。買主にとってそれはそれで重要であることには違いないのですが、水周り部分の水漏れの有無などのチェックやフローリングの浮きや傾きの有無、バルコニーの傾斜不足などをチェックすることの方がむしろ重要だといえます。

そのため、内覧会にはチェックリスト(インターネット等で入手可能)、メジャー、鏡、水平器、懐中電灯、カメラ等を携行することが望ましいでしょう。

※ 住宅インスペクション:住宅の専門家による新築住宅や中古住宅の技術的な調査・診断

Q7

勧誘されて投資型分譲マンションの売買契約に調印してしまった。冷静になって考えてみると、多額のローン返済に不安を感じることや、特別有利な投資対象とは思えないので解約したい。どうすればよいか。

A7

宅地・建物の売買契約に際しては、次の要件を全て充足すればクーリング・オフ(無条件解約)を行うことが可能です。

  1.  売主が宅地建物取引業者であること
  2.  宅地建物取引業者の事務所以外の場所で契約をしていること
  3.  契約代金全額を支払っていないこと
  4.  クーリング・オフについての書面を受け取ったうえ、クーリング・オフが可能なことを告げられてから8日以内であること(なお、クーリング・オフについての書面を受け取っていない場合、または告知されていない場合は、行使期間を経過していてもクーリング・オフが可能です)

クーリング・オフの要件を充足しているか否かについて判断できない場合や具体的な権利行使の方法が分からない場合は、自治体の消費者相談窓口などに相談するとよいでしょう。

また、商談の過程で長時間拘束されていたり、「絶対に儲かる」などと断定的な勧誘を受けていた場合は、問題があるといえます。消費者契約法では、長時間にわたる勧誘は不退去や退去妨害、「絶対に儲かる」などという勧誘方法は断定的判断の提供であり、契約の取消事由にも該当します。

さらに、宅地建物取引業法でも「宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、宅地建物取引業者の相手方等に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない」と定められています。

Q8

遠隔地の不動産業者から、数十年前に投資目的で購入した土地(山林)を売って欲しいとの電話があった。土地は以前、別の業者から勧められて購入したものだが、その後売却のチャンスにも恵まれず塩漬け状態だった。迷っているが、どうすればよいか。

A8

1970年代以降、遠隔地の原野や山林を時価の何倍もの価格で売りつけるという原野商法が横行しました。時を経た今、除草、土地測量・整地、広告掲出などさまざまな理由でそれらの被害者を対象に、言葉巧みに契約を迫るというのが原野商法の二次被害です。

しかし、訪問・電話勧誘販売により土地の測量・整地などの契約をした場合は「法律で定められた事項が書かれた書面を受け取った日」から8日以内であればクーリング・オフを行うことが可能です。仮に、クーリング・オフの期間が過ぎていても、業者の勧誘方法によっては契約を取り消すことができる場合もあります。自治体の消費者相談窓口などに相談するとよいでしょう。

過剰な期待から土地の測量・整地、広告掲出等の費用をかけたとしても、元が取れる可能性は乏しいものと思われます。業者の甘言を鵜呑みにせず、地元自治体に課税評価額を照会したり、地元不動産業者に取引状況などを照会するなど、冷静かつ慎重に対処することが重要です。

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